路上ライブで著名なアーティストの曲を歌うとき、著作権を侵害するのでしょうか?また著作権を侵害しなくても、著作権料を支払わないといけないのでしょうか。この点について、2018年5月にジャスラック(jasrac)に電話取材を行い、回答を得ることができました。路上ライブと著作権の関係について悩んでいる方の参考になればと思います。
次の3点をクリアーすれば、著作権のことを考えなくてよい
ジャスラック(jasrac)の担当者によると「次の3点をクリアーすれば、著作権のことを考えなくてよい」とのことでした。下記の3点を満たすことで著作権法38条の問題をクリアーすることができ、著作権の侵害や使用料の発生事由には当たらなくなるとのことです。
1.入場料をもらっていないこと
2.出演者に報酬が支払われないこと
3.主催者が非営利であること(株式会社のような営利企業ではないこと)
ちなみに、著作権法38条の条文は次の通りです。
(営利を目的としない上演等)
第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
2 放送される著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、有線放送し、又は専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として自動公衆送信(送信可能化のうち、公衆の用に供されている電気通信回線に接続している自動公衆送信装置に情報を入力することによるものを含む。)を行うことができる。
3 放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。
4 公表された著作物(映画の著作物を除く。)は、営利を目的とせず、かつ、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供することができる。
5 映画フィルムその他の視聴覚資料を公衆の利用に供することを目的とする視聴覚教育施設その他の施設(営利を目的として設置されているものを除く。)で政令で定めるもの及び聴覚障害者等の福祉に関する事業を行う者で前条の政令で定めるもの(同条第二号に係るものに限り、営利を目的として当該事業を行うものを除く。)は、公表された映画の著作物を、その複製物の貸与を受ける者から料金を受けない場合には、その複製物の貸与により頒布することができる。この場合において、当該頒布を行う者は、当該映画の著作物又は当該映画の著作物において複製されている著作物につき第二十六条に規定する権利を有する者(第二十八条の規定により第二十六条に規定する権利と同一の権利を有する者を含む。)に相当な額の補償金を支払わなければならない。
投げ銭やCD販売を行うとどうなるのか?
続けて、路上ライブで投げ銭をもらった場合、またCD販売を行った場合について訪ねました。担当者曰く「投げ銭は出演者への報酬にあたると考えられるので、著作権の侵害となる可能性が高い」とのことでした。CD販売については「正直、微妙です」との回答で、明確な取り決めはないとのことです。
まとめ
実務上の話として、個人レベルの路上ライブにおいて著作権が問題となるケースは極めてまれのようです。大々的にライブを行って報酬を得るのならば、著作権に関する取り扱いをしっかり確認しておきましょう。