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許可のない路上ライブは違法なのか?

音楽活動をしていると、路上ライブ(ストリートライブ)をやってみたいと思う人が多いのではないでしょうか。では、路上ライブをするには誰の許可が必要なのでしょうか。また許可をとらずに路上ライブをした場合、罰金を払ったり、逮捕されたりするのでしょうか。

この記事では、路上ライブに関する法律関係と現実的な慣例についてお伝えします。

 

路上ライブをするには、誰の許可がいるのか?

 

路上ライブを行う場所として、主に道路や公園、商店街の一画、駅の構内、駅前の広場になると思います。路上ライブの許可は、道路であれば警察、公園であれば公園を管理する自治体、商店街であれば商店街を管理する組合等、駅の構内であれば駅の管理者となります。駅前の広場であれば、どこまで駅が管理しているかを確認しないといけませんが、ほとんどは警察の管轄になると思います。つまり、公有地であれば自治体や警察といった行政機関、私有地であれば管理者(所有者)の許可が必要になります。

 

許可を申請すれば、認めてもらえるのか?

 

厳密にいえば、自治体や警察といった行政機関が行う許可と、駅の管理者や商店街の組合といった民間団体が行う許可は同じではありません。行政機関が行う許可(=運転免許、猟銃の所持など)は、厳正な行政手続きを経て、ほぼ全てのケースにおいて「書面」で通知されます。そのため自治体や警察官から口頭で許可(言質)をとったとしても、言った言わないの水掛け論になるだけでほとんど意味はありません。一方、民間団体の場合は行政法の縛りはないため、管理責任者が「いいですよ」と言えばそれでOKです。
本題ですが、まず行政機関が行う許可についてはおりないと思った方がいいでしょう(個人の路上ライブで、許可がおりたという話は聞いたことがありません)。民間団体の許可は、駅の構内だと、まず許可はおりません。商店街はケースバイケースで認めている組合もありますが、賑わっている商店街であれば商売の邪魔になるので許可はおりないでしょう。つまり、ほとんどのケースで路上ライブの許可はおりないと考えた方がよさそうです。

 

路上ライブをしている人はどうしているのか?

 

路上ライブで演奏している多くの人は無許可で行っています。たとえば公道で路上ライブを行ったならば、道路交通法77条や自治体の条例等によって違法になると考えられます。(なお、道路交通法77条や条例が違憲無効であると争われた判例はありません)

 

パブリックフォーラムという考え方

 

パブリックフォーラムとは「道路や公園といった公の場所で行われる表現の自由については、所有権や管理権に基づく制約を受けざるをえないとしても、表現の自由について可能な限り配慮しましょう」というものです。表現の自由は憲法に規定されている基本的人権のなかで最も尊重されるべき権利です。路上ライブも一種の表現の自由であることは間違いないので、最大限配慮されると考えられます。

 

路上ライブで処罰を受ける境界線

 

現実的な慣例として、警察や管理者から「演奏を止めてください」と注意されたときに、直ちに演奏を中止すれば処罰を受けることはありません。つまり、罰金を支払うことも逮捕されることもありません。ただし、繰り返し注意を受けたのにも関わらず演奏を止めない場合は、処罰を受けることになります。2014年には、警察の度重なる注意を無視してJR新宿駅前で無許可ライブを行っていたグループのメンバーが、道路交通法違反の疑いで、警視庁に書類送検されています。

 

まとめ

 

路上ライブの違法性自体は弱いと考えられます。歩行者が横断歩道を赤信号で渡れば違法ですが、それをもって直ちに罰金・逮捕されないのと同じように、違法性が弱いと「注意」で済みますが、違法性が強まれば(悪質だと判断されれば)処罰の対象となります。路上ライブは表現の自由の一環として配慮はされるでしょう。しかし、あくまでも配慮を受ける側であって「権利」として主張できるわけではありません。警察や管理者(所有者)から注意を受けたときは、その指示に素直に従いましょう。

 

 

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